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Reunion

2010.01.12*Tue*
二度目の文章書きになります。

1000Hits御礼に何か残したいな…と思いまして、
この3連休にぽちぽちと書き連ね、ようやく完成いたしました。
でも、日にち分けて書いたせいか、話がとりとめもないものになってしまいました。

当初のテーマは、直江&高耶さんによる砂吐きノロケ話だったはずなんですが、
気がつけば、直江の昔の女が登場したり、
結局二人は淡白なやりとりで終わったり。

…ふっ、多岐が書くのなんて、所詮この程度です。

相変わらず、R指定も何もない、
正しい意味でのヤオイ(山なし、落ちなし、意味なし)となっております。

それでもよろしければ、↓"続きを読む"  からご覧ください。

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    『Reunion』
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今夜は、久しぶりに外で食事にしませんか。

そう直江が声をかけたのは、日曜日のお昼も4時過ぎになり、今夜は何を作ろうかと高耶が考え始めたところだった。特に使ってしまわなければいけない食材もないし、まぁ、たまにはいいかと首肯した高耶に、
「それでは、18時にMデパートの正面入口で。」
兄から頼まれた仕事の書類を取引先へ届けに行くのだと、待ち合わせの約束をして男は、踝近くまであるロングコートを羽織ると一人先に出かけてしまった。一緒に出ると高耶は言ったのだが、外は寒いからあなたはギリギリの時間まで暖かいこの部屋にいて下さい、とやんわりと断られた。直江もいないこの部屋に一人でいても退屈なんだけどな…、そう思ったが、仕事に自分がついて行って直江に迷惑がかかるのも嫌だし、自分を気遣っての事だと思い直し、高耶は時間潰しの方法を考えながら、部屋に戻った。

マンションの地下駐車場で、ウィンダムのエンジンが温まるのを待っている間に、直江はMデパート近くにあるルーマニア料理の店に今夜の予約を入れていた。先日、自分が風呂から上がった時、それに気づかずに東欧を巡る旅番組を観ていた高耶が食べてみたいと独り言ちしてたのが聞こえたのだ。物欲のほとんどない高耶だが、料理に関するものは意外と欲しがり、直江には何をどう使うのか分からないような調理器具が、いつの間にかキッチンを占領してる有様だった。ただ、自分で作る分にはかなり勝手気ままに振舞う高耶でも、さすがに自分では作れないもの、未知の味というものがある。ルーマニア料理などと言われても、全く想像がつかない。TVに映し出されたメニューを見て煮込み料理がメインだというのは分かるけれど、味は?。そう思ったら、つい「食ってみたいなぁ」と口から出ていた。直江が近くにいないという気の緩みだった。あの男のことだ、それじゃ早速明日にでも行ってみますか、とか何とか言い出すに決まってる。人に甘える、強請るという事が苦手な高耶は、男の厚意を素直に受け止めることができない為、そんな風に言われたらどう反応していいのか分からなくなってしまう。その直後、「何を観てるんですか」と声をかけられた時は、独り言が聞かれたかと焦ったが、男は濡れた髪を乾かしに自室へそのまま行ってしまった。そして、その後数日経っても、特にその話題が出なかったことに高耶は安心していた。だが、そんな高耶の心など、この男はすべてお見通しだったようで、二週間以上経ち、ほとぼりが冷めたと高耶に思わせられたのを見計らっての今日、食事の段取りをつけたのだ。

仕事相手と30分程打ち合わせをした後、男は車を銀座方面へと走らせていた。曜日、時間帯を問わずこの辺りはいつも渋滞している。約束の時間までにはまだ充分余裕があるはずなのだか、直江は右手の人差し指を苛立たしげに握ったハンドルの縁を数回叩いた。時間に間に合うだけでは駄目なのだ、あの人よりも先に着いていなければ、別々に家を出た意味がなくなる。直江の願いが天に通じたのか、それから程なくして車は順調に動き出した。Mデパート近くのコインパーキングをいくつか巡り、ようやく空車スペースを見つけ、そこから全力疾走とまではいかないまでも、ようようの駆け足にて中央通り面したMデパート正面玄関に辿り着いたのは、18時まであと15分強といった時間だった。これならあの人が来るまでに息を整えられる。最近では走ることなどなかった為に、若干上がった息の中に安堵の吐息を混ぜつつ、男は時計を見るために上げていた左腕を下ろし、入口脇の銀色のポールに凭れかかった。

その時だった。

「…橘?」

甘やかというには少々きつさを感じさせる声に直江が振り向くと、Mデパートの手提げ袋を持ち、入口から出てきたばかりの女性がそこに立っていた。
「小夜子…。」
女は、そこにいるのが確かに橘義明だと分かると、口の端を上げ軽く微笑んで見せた。
「久しぶりね。何年ぶりかしら。」
今生、仰木高耶と出会う前、いや出会ってからも、一番多くコールをしたのが小夜子だった。お互い肢体だけの関係だと割り切っていたし、頭の回転もよかったので一緒にいても疲れない相手だった。此方が五割を語ったところで八割以上を理解してくれたし、大手商社の社長秘書をしているとの事で、自分に充分な収入がある為か、強請るという事もしない適度な距離を置いて付き合うには申し分のない女だった。最後に会ったのはいつだったろうか。高耶と再会し、傷つけ合い、別れ、そして再び巡り会い、愛し愛され、そしてようやく穏やかな今がある。ここで会う事がなければ、きっとこの先も思い出すことなどなかったであろう相手を前に、この男にしては珍しく言葉に詰まってみせた。そんな男の様子に気づいたのか、気づかぬ振りをしているのか、小夜子は口元には微笑みを残したまま、視線を詰るようなそれに変えた。
「一年くらい前だったかしら、あなたが東京に戻ってきてるって風の噂に聞いたのは。てっきり連絡くれるものだと思ってたのに、結局なしのつぶてだったわね。」
「あぁ、すまなかった。余計な心配をかけたみたいだな。」
「心配というか、その程度の関係だったのかって、少しがっかりしたかしら。」
確かに肢体だけの関係だと割り切っていた、そのはずだった。
「あなたが行方不明になったって聞いた時でも、心のどこかで期待してたのよね。どこにいたって私にだけは連絡をくれる。私は特別なんだって。」
アドレス帳に載ってる他の女たちとは違う、自分と橘には特別な何かがあるはずだって。
「でも、結局あなたからの連絡はなかった。」
自分が知っているのは橘の電話番号だけしかなく、その電話が通じない以上、自分と男を繋ぐものは何も残っていない事実を突きつけられた。
「あなたにとって私はその程度の女だったんだって思い知らされた。」
そしてようやく気がついた。自分は肢体だけじゃなく心ごと橘が欲しかったんだと。クールに割り切った素振をしてたのは、それが橘を繋ぎ止める手段だったからに他ならない。甘えるような行為は逆にこの男を自分から遠ざけるようなものだと、本能が知っていたから、物分りのいい女を無意識に演じてた。
「馬鹿な女よね、当の本人が目の前からいなくなって、しかも何年経ってようやく気がつくなんて。」
自嘲気味に笑うと、女は持っていた紙袋を抱えなおした。

「さっきね、ガラス越しにあなたが此方に向かって走ってくるのが見えたの。吃驚したわ、あなたの走ってる姿なんて初めてみたもの。」
数瞬前に比べ明るいトーンの口調になって、小夜子は話題を変えてきた。
「いつでも余裕たっぷりだったあなたに息を切らせるなんて、よっぽどの事よね。…橘。」
真正面から目を見つめられる。
「本当に大事な人ができたのね。」
直江は目をそらせることなく、大きく頷きながら、通りの向こうを指差した。
「今、あそこの信号を渡ってくる。」
小夜子は後ろを振り返ると、直江の指差す相手を視認した。そこには、革のジャケットを羽織り、小走りに駆け寄ってくる黒髪の青年がいた。満足とも納得ともとれる溜息を一つつくと、小夜子は左手の手袋を外し、直江に握手を求めてきた。
「また、いつか、どこかで会えるといいわね。」
直江は何も言わず、差し出された手を握り返した。左手でする握手は少しぎこちないものだったが、直江はその薬指に光るリングに気づいた。…やはり頭のいい女だ。言葉にすることなく、今の生活が幸せなものだということを自分に伝えてきた。ぎゅっと強く握り返してやると、女はもう一度微笑み、自分から手を離した。
「それじゃ。」駅に向かって歩いていった小夜子は、すれ違いざま「幸せにね」と声をかけた。えっ、と高耶が振り返った時、小夜子の姿は雑踏に埋もれてもはや見えないものになっていた。確か今のは自分に掛けられた声だったように思えたのだが…気のせいだったのだろうか。軽く首を傾げると、高耶はすぐに頭を切り替えて、自分を待っている相手に駆け寄った。

「直江っ!」
あなたが私の名を呼びながら駆け寄ってくる。この瞬間が見たくって、私はあなたを待つ時間が欲しかった。通りを行き来する数多の人々の中で、あなたが見つめてるのは自分だけ。その優越感に浸りたくて。息を弾ませながら近寄ってきた高耶を男はおもむろに抱き寄せ、自分の着てるコートの中に包み込んだ。
「!おっおい、バカ、人が見てるってばっ!!」
すっぽりとコートの中に頭まで納まったまま高耶はじたばたと抗った。顔は見えないけれど、きっと真っ赤になっているに違いない。
「あんまり暴れると余計に人目をひきますよ。」わずかに覗いた旋毛に顔をうずめるようにして直江が囁くと、ピクッと反応しようやくおとなしくなった。クスクスと笑うと、くぐもった声が笑うなと小さく抗議してきた。踝近くまであるロングコートに包まれた高耶は、外からでは全くその姿が見えなく状態で、二人の前を行き来する人々には、単に場所を選ばないカップルとしか映っていないだろう。駆け寄ってくるあなたが愛おしくて思わず抱きしめてしまったけれど、さて、この状態からどうやって高耶を解き放つか、タイミングを間違えるときっとあなたの機嫌を損ねてしまう。怒った顔のあなたも可愛いけれど、今日のところは笑顔でいて欲しい。こんな事を考えてる俺を見たら、きっと小夜子はまた呆れるだろうな。

「…おいっ、直江ってば、メシ行くんだろっ。」いい加減じれてきたらしい高耶の声に、「そうですね。予約時間に遅れても申し訳ないですから。」とごく自然を装い男は腕を解いた。周囲の視線が自分たちに集まっていないことを確認した高耶はほっとした表情を浮かべ、さっさと歩き出した。その後姿に苦笑いを送り、直江も高耶のあとについて歩き出す。
「ところで、高耶さん、お店どこだか知ってるんですか?」
「…あ。」
ピタッと足を止めた高耶を自分の真正面に向かせ、「すいません、逆方向なんですけど。」と肩を抱くようにして歩き出す。信号を渡り、約100メートルほど歩いたところに目的の店はあった。「一度食べてみたかったんですよね。」と促されて入った店内をみて、ようやく何故直江が食事に誘ったかの真意に高耶気づいた。そして未だ肩を抱いたままの男を見上げ、「サンキュ、な。」と小さく呟いた。やっぱりこの男はあの時の自分の独り言を聞いていたのだ。あくまでも自分が来たかったのだと主張してみせ、此方に気遣いをさせず、且つ喜ばせようとする男の気持ちが嬉しかった。
「何のことですか?」
白を切る男に、なんでもないと此方も気づかぬ素振をして、店員に促されるままテーブルに着く。赤を基調とした家庭的な雰囲気の店内、挽肉や野菜をふんだんにつかった煮込み料理は素朴な味がした。最後にでてきたパパナッシュというデザートは、ケーキともドーナツともどちらとも言えない食感がして、高耶をご満悦にさせた。このケーキはちょっと家じゃ作れないかな。でもあの煮込み料理はアレンジすれば自分でも作れそうだ。今日の御礼に、いつか直江に作ってやろう。普段自分で入れるのよりもやや濃いコーヒーを飲み干しながら、高耶は考えていた。そして、そんな高耶の満足そうな顔を見て、直江もまたコーヒーカップを口元に寄せた。

end




すっすいませんっ。
書きながら、自分でも収集がつかなくなりました。
一番自分で書きたかった部分も、イメージしてたようには書けなかったし…orz。


改めて、素敵な文章書ける方を尊敬いたします。

今回のタイトルは、飯島真理嬢(多岐が一番古くファンしてる方です)の、曲名からお借りしました。

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多岐美影

Author:多岐美影
何とか自分の手が届く範囲にてミラージュの世界を満喫したいと画策中。

生息地:江の島と箱根の間(小田原寄り)
性格:典型的な「O型乙女座」人間とよく言われる
ミラ歴:'94春~'96冬=ミラ第2部だけはリアルタイムその後13年のブランクを経て、2009年春再燃
前科:某ボーカリストの追っかけもどき約20年

ブログサイト:「天空の石」
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