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SS「お買い物」

2010.08.15*Sun*
夏休みも、気がついたらもう終わりです。
あっという間です。
多少の買い物やお出かけはしたものの、
基本的には、「何やってたんだ?」な日々を過ごしておりました。

いくらなんでも、無為すぎるだろっ。
…という事で、お休みラストに夏休み記念SSを。

いつもの多岐の書くものとは、毛色が違うかな。
暑さで脳みそヤられたんだな…とでも思ってください。


よろしければ、↓"続きを読む"  からご覧ください。

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久々に二人揃っての休日。
普段徒歩で駅まで通ってるせいで、なかなか買って帰れないような日用雑貨を買い求めに直江に車を出してもらって、国道沿いのドラッグストアまで。
ティッシュペーパーや詰め替え用のシャンプーや、2L6本入りのスポーツドリンクなど、俺がどんどん載せていくカートを直江が押して付いてくる。
180cmを超すいい男とティッシュ、そのギャップに立ち止まって見つめる老若問わずの女性客。
直江と暮らし始めた頃、その視線に耐えられなかったのは、当の本人である直江よりも俺の方だった。
何やらこっぱずかしくって、頼むからついて来ないで車の中で待っててくれと頼んだのだが、全く聞き入れやしなかった。
「そんな事で恥ずかしがってたら、これから先の長い人生、何が起きるかわかりませんよ。」
厚顔無恥というのは、こういう男の事を言うんだろうな…と、半ば感心しながら、俺は溜息をついたものだ。
買い物に限らず、この男は何処に行くにもついてくるので、いちいち気にしてるのも面倒くさくなって、今では態のいい荷物持ちがあると思うようにした。

一揃い店内を巡り、会計を済ませたところで、そういえば絆創膏の常備が切れていた事を思い出した。
昨日、左手の人差し指のささくれを無理やり剥がした時に使ったのが最後の一枚だったのだけれど、買出し用のメモに書きそびれていたのだ。
「わりっ、ちょっと買ってくるから。」
「じゃあ、先に荷物車に運んでいますね。」
今出てきたばかりの自動ドアの向こうに戻り、医療雑貨のコーナーを曲がると、通路手前に男子高生が二人しゃがみこんでいた。
ったく、人が通るのに邪魔だろーが。
心の中で舌打ちしながら、その二人の背後を通り抜けようとした時。
「俺、この間コレ使ってみたんだ。」
「へぇ、どうだった?」
「すっげー薄いんだけど、つけやすかったぜ。」
「ふぅん、俺は買うのはいつもこっちだなぁ。」
「あー、俺もそれ使ってた。ぼつぼつが気持ちいいって言ってたな。」
…何の話だ?
耳に入ってきた会話が何故か気になって振り返ると、一人は黒っぽい、もう一人はミントグリーンの、それぞれ似たような箱を持って立ちあがるところだった。
レジに向かう二人を見送って、改めてその二人が座り込んでいた辺りを見る。
そこの陳列棚には確かに、黒っぽい箱も、ミントグリーンの箱もある。
あるけど、これって…もしかしていわゆるゴムってやつか。
ってことは、あいつらが話していたのは、これのことだよな。
今時のこーこーせいは、こんな店の真ん中であんな会話をして堂々と買っていくのかよ。
俺が現役だった頃には、絶対にお目にかかれなかった光景だよな。
いや、もしかしたら俺の廻りにそういう奴がいなかっただけかもしれないけど。
とにかく、軽くショックを受けながら、俺はさっきの男子高生が持っていた緑爽やかなパッケージを手にしてみた。
…使った事ないんだよな、そういえば。
自慢じゃないが、女との経験もない俺は、今までゴムというものの存在を意識した事がなかった。
勿論…というか、直江と…そのなんだ…そういう関係になってからも、あいつも使おうとしなかったから、それが当たり前だと思ってたし。
じっと見つめていた箱を、もう一度棚に戻して、本来の目的である絆創膏を手にしようとしたら、
「高耶さん、絆創膏ありました?」
「わぁっ!!」
先程男子高生が出て行った通路の陰から、ひょっこりと直江が顔をのぞかせてきた。
びっ…吃驚した。
「何をそんなに驚いてるんですか?」
「いっ…いや、なんでもない。」
やばい、もう少しタイミングがずれてたら、俺が手に持っていたのは絆創膏の箱ではない別のものだったわけで。
もしそんなところをこの男に見られたりなんかしたら、一体何を言われる事か…。
内心要らぬ汗をかきながら、男の背を押すようにしてレジを通って店を出た。

その後、食料品を買いにスーパーに行ったら、丁度夕方のセール時間にぶち当たってしまった。
売り場にまで伸びた会計待ちの列に並んでるのは俺一人。
先程のドラッグストアならいざ知らず、通路の幅も狭いこんな店で男二人が並んでるのは、周囲の皆様の邪魔になるのし、食料品をレジ袋に詰めるのも一人でやった方が手間がかからない(直江と一緒だと、いちいち「これはビニール袋に入れた方がいいですか?」とか聞いてきて、なかなか捗らないのだ)ので、車で待機するように頑として言い聞かせている。
それでも、何だかんだと一緒に並びたがるのが常のことだというのに、
「それじゃ、先に車に戻ってエアコン掛けてますね」と、今日は素直に俺の言葉に従った。
珍しいこともあるもんだと思いながらも、これ以上、オクサマ達の視線を浴びずにすむことにホッとして俺は列に並び会計を済ませた。
両手にレジ袋をぶら下げて店の外に出ると、測ったようなタイミングで目の前にダークグリーンの車が止まり、内側から助手席のドアが開けられた。
…あれ、こいつ今外から入ってきた?
あぁ、そうか。
ここの駐車場は全面一方通行になってるから、店の前に来るには一旦出て入口に戻って来なきゃいけないんだっけ。
なんとなく引っかかりを感じながらも、もっともな理由に俺は納得…してしまったんだよなぁ。

買い込んだ荷物をお互いに両手に抱え込んで部屋に戻り、俺は食料品を直江は日用品をそれぞれのストック場所へしまいこむ。
夕飯は、セール品の豚ロースでさっぱり冷しゃぶと、食感のいい空心菜の炒め物。
あとは、焚きたて白飯になめこのお味噌汁。
食事が終わって、俺が台所の片づけをしている間に、風呂の準備を直江がする。
これも、俺の躾けた事の一つ。
以前食器洗いをしている最中に、誰かさんがちょっかいをかけてきたせいで、皿を一枚割った事があり、それ以来おとなしく風呂掃除に向かうようになった。
実は、その時割れた皿というのは、既に縁が欠けていてそろそろ替え時だったのだけれど、それは俺だけの秘密だ。
それと、風呂掃除を素直にあいつがするのには、もう一つ訳がある。
こちらは、俺とした事がうかつと言えばそれまでなんだけれど…。
「早いとこ風呂入っちまって、それからゆっくりしようぜ」なんて言ってしまった事がある。
俺としては、ただ「ゆっくり」したかっただけなのだが、誰かさんは別の意味に取ってしまったらしいのだ。
あぁ…俺としたことが…。
どうやら今夜の直江は充分に「ゆっくりする」つもりらしく、揚々と風呂場へ向かって行った。
まぁ、俺としても今夜はそれもありかな、とか思ってたりするから、いいかなとか。
ふと、昼間の男子高生の会話を思い出してしまった。
ぼつぼつが気持ちいい…とか言ってたよな。
どっちがなんだろ、男がか、それとも彼女が?
洗い物の済んだシンク廻りを拭いていた手が止まる。
「高耶さん、お風呂入れますよ。」
「わぁっ!!」
「どうしたんです、またぼーとしてたんですか?」
なっなんだからって、こいつはこのタイミングで声をかけてくるんだ!?
「おっおう、じゃ、お先に入ってくらぁ。」
「一緒に。」
「入らねえ。」
皆まで言わせずに、腰巻にしていたエプロンをほどくと、そそくさと逃げるようにして俺は風呂に向かった。
「あまり長湯してのぼせないようにしてくださいね。」
そうは言われても、俺好みのややぬるめのお湯は心地よく、ついつい長湯をしてしまいそうになったけれど、今日の俺の頭じゃマジでのぼせる。
いつもよりも早く上がると、湯ざましだと冷茶が用意されていた。
ありがたく俺がそれを受け取ると、入れ替わりに直江が風呂に入る。
キンキンに冷やされたお茶は、火照った肌を内側から冷ましてくれて、こういう時の男の気配りに改めて感心する。
ちょっと行儀悪いかな、と思いつつ、まだ半分ほど残ったコップを持って寝室に行き、部屋の半分近くを占める大きなベッドの上に足を延ばして座り込む。
頭からかぶったままだったバスタオルで濡れた髪を拭いながら、頭に浮かぶのは例のあれの事で…。
うわっ、俺ってばまるでチェリーボーイ?とか訳のわからない突っ込みを自分にしてたら、またしても。
「高耶さん、本当に今日はどうしたんです?」
だっだから、お前、声をかけるんだったら、予め分かるようにしろよ。
何種類かのドキドキとバクバクを抱えた胸を押さえて、たった今部屋に入ってきた男を見上げた。
充分タオルドライされた茶色がかった濡れ髪、日本人としては絶対に規格外だろと思うような均整のとれた厚みのある胸とそこから続くがっしりとした二の腕。
筋肉バカのような不自然さもなく、力まずともはっきりと見て取れる腹筋。
そして、そこから下は大判のバスタオルが巻かれ…って、何こいつ、パジャマくらい着てきやがれってんだ。
臨戦態勢オーケーな状態の男に対して、俺はどういう態度をとればいいんだ。
ギシリ。
男が片膝ずつベッドに登ってきて、俺をやんわりと抱き寄せた。
「高耶さん…。」
折角冷めた肌が、男の声だけでまた火照ってくるのが自分でもわかる。
そして、同時にぞわりと悪寒にも似た感覚が体中を駆け巡る。
これが来始めたらもう駄目だ。
俺の躯の主導権は、持ち主である俺自身ではなく、この声にあっけなく引き渡されてしまう。
躯中を、指と声と吐息とに撫でまわされ、もう何も考えられなくなる。
「…やっ…なっなおえ…もう…」
じわりと嬲るような快感でなく、もっと確かなものが欲しいと俺が強請ると、男は俺から触れるのをやめた。
「…なお…ぇ?」
いつもと違うその様子に不安を覚えて、喘ぎすぎて掠れてしまった声で男の名を呼んだ。
男は、飴色とも琥珀色とも呼べるその瞳を笑みの形に細めると、何やら箱を俺に見せた。
「今日はこれを使ってみましょうか。」
ぎゅっと瞑ったり、涙が滲んできたりで、ぼんやりとした視界に入ったのは、ちょっと大きめの飴玉でも入っているようかのような小さなビニール。
でも、飴玉にしては、なんだか平べったい。
「高耶さん、コレ使ってみたかったんでしょ。」
今度は、瞳だけでなく口元も声も、はっきりと楽しそうなそれにして、男は小袋を持った手と反対の手に持った箱を俺の目の前に突き出してきた。
緑爽やかな、このパッケージは…。
俺の中で高ぶっていた熱が、一気に下がるのが自分でも分かった。
「おっ…おまっ、それ…な、なんで。」
「先程、スーパーであなたを待っている間に、買いに戻ってました。」
あの時、こいつの車が外から駐車場に入ってきたと思ったのは、俺の気のせいではなかったという事か。
自分の洞察力に感心しながらも、そこからもう一歩踏み込んで考えなかった事を、今更ながらに悔んでみる。
つまりだ。
この男は、あの時、なかなか店から出てこない俺を気にしてドラッグストアに戻ってきた時、俺を見かけてすぐに声をかけたのではなく、通路から出てきた男子高生の会話とすれ違い、例の箱を手にした俺を見つけたのだ。
そして、その箱を俺が陳列棚に戻したのを見計らって、声をかけた。
そう、全部見られてたのだ。
「今日はコレで、貴方を気持ちよくさせてあげる。」
低く、腰を直撃するような声色でそう囁かれ、俺はただ顔を真っ赤と真っ青を行き来させるので精いっぱいだった。


fin




ドラッグストアでの男子高生は、昨日の多岐の目撃談です。
まぁ、彼らを見たから、コレ書こうと思ったんですけど。

えっと。
とりあえず、一回目はアレ使ったと思いますが、
その後は、高耶さんの希望によりいつも通りにそのまんまでされたと思われ。
っていうか、やっぱり直高に余計なものはいらないな、と。
直接触れ合ってこその彼らだと思っておりますので。

高耶さんも初めての経験されましたが、
多岐も初めて高耶さんの喘ぎ声(?)を書かせて頂きました。
いやぁ~、難しいです。
読ませていただくのと、実際に自分が書くのとじゃ全然大違い。
改めて、ソレを書かれる皆様に敬意を払いたいと思います。

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多岐美影

Author:多岐美影
何とか自分の手が届く範囲にてミラージュの世界を満喫したいと画策中。

生息地:江の島と箱根の間(小田原寄り)
性格:典型的な「O型乙女座」人間とよく言われる
ミラ歴:'94春~'96冬=ミラ第2部だけはリアルタイムその後13年のブランクを経て、2009年春再燃
前科:某ボーカリストの追っかけもどき約20年

ブログサイト:「天空の石」
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