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5000Hits御礼SS

2010.12.17*Fri*
先日のカウンタ5,000オーバーがあまりにも嬉しくて、
御訪来くださった皆様へ、何か御礼をしたいっ!。
…と思っていたところ、丁度TVでこのイベントの事を知りました。

webでイベント関係の情報チェックして、
こんな感じかなぁ…と多岐の限度ありまくりの貧相な想像力を駆使して、
いきおいのまま書いてしまいました。

本当は数日前に書き終えたんですが、
やっぱり、どーしても本物をこの目で見たくなって。
よーやく今日、行ってまいりました。

想像してたのよりは、寂しい…というか、
表参道や丸の内界隈のと比べたら可哀そうだろ、という感じですけど、
今年が初めてということもあり、逆に手作り感が感じられて、
のんびり楽しめる、そんな光景でした。

相変わらず、
「やまなし、いみなし、おちなし」の正しい"やおい"状態にて、
こんなんで、御礼になるのか甚だ疑問ではございますが、
よろしければ、↓"続きを読む"  からご覧ください。



☆--------------------------------------------
    『COLOR OF HEART』
---------------------------------------------☆


今年もあと3週間とちょっとになった今日、美弥から宅配便が届いた。蕎麦や味噌など俺が慣れ親しんだ味とともに、嵩はあるものの見た目よりも軽い大きな包みがひとつ入っていた。赤と緑というこの時期に似合いのラッピング袋に添えられたカードには、『ちょっと早いけど、Merry Xmasだよー♪』と丸みがかった文字。

コポコポと男のコーヒーを入れる音と、ガサガサとおれの包装を開く音。不協和音なのに、穏やかさを感じられる中で出てきたのは、2枚のセーターだった。もこもことした手触りのブルーグレーのゆるやかなハイネック(オフタートルっていうんだと、コーヒーカップを両手に持ってきたやつに教わった。けど、なんでこいつはこーゆー事まで詳しいんだろう・・・)と、一回り大きなサイズのシンプルなワインレッドのVネック。もこもこセーターは左腕の二の腕あたりに腕章のように太めの紅いラインが入ったデザイン。そしてVネックの襟ぐりや袖口、裾は白っぽい糸でかがり縫いがされていた。よく見るまでもなく、それはそれぞれお互いの毛糸を少しだけ編み混ぜたものだった。中身を取り出したラッピング袋の底から、さきほどとはまた別のカードが入ってるのを直江がみつけた。
『これなら二人で一緒に着ても、お揃いだってわからないでしょ(^^)v by美弥』
えっ、っていうことはこれは何だ、あの、ほら、つまり…。
「ペアルックですね」
だーかーらー、なんでお前はそういうことを臆面もなくしゃあしゃあとほざけるんだ。
「だって、お揃いの服でしょ」
いや、確かにそうなんだけど、はっきりズバッと言われるとこっぱずかしいというか、いまだにどうしても慣れないんだよ、オレはっ!。そんなオレの態度には慣れっこになってる男は、まあまあといなすようにオレを宥め(宥められるオレもオレだと思うけど)、「せっかくですから、これ着て行きませんか?」と提案してきた。

今朝TVで見たイルミネーションを見物に行こうかと話していたところに、荷物が届いたんだった。「美弥さんへのお返しを買いに行くついでに、見に行けばいいですよね」と、男二人でそんなところに行くなんてと予定調和の駄々をこねていたオレの抵抗は、その一言であっさり消え去った。うん、そうだ、あくまでも出掛ける目的は美弥への買い物であって、夜景見物はついでだついで。いつもの如く上手く言いくるめられたようでちょっと悔しい気もするけれど、やっぱりオレだってこいつと一緒に出掛けられるのは正直いえば嬉しいんだ。絶対に口には出せないけど。横目に入る男のすべてお見通し的な笑顔は見なかったことにして、オレは出掛ける準備を始めた。

夕方マンションを出た時にはまだ赤かった空も、買い物を済ませる頃には黒とも濃紺ともいえる色にすっかり変わっていた。結局、美弥にと買ったのはホワイトゴールドのペンダント。最初オレは小さな花のモチーフのを選ぼうとしたんだけれど、直江が「こっちはどうですか」と薦めてきたのは、シンプルなデザインの真ん中に小さなダイヤがはめ込まれているヤツだった。
「美弥さんも、そろそろこういうのがお似合いになる歳じゃないですか」
そう言われて、改めて自分の妹が制服からとうに卒業していることを思い出した。オレより3つ違いなだけなんだよな。まだまだ子供だと思ってたけど、もう本物のダイヤが似合う女性になってきたんだよな。嬉しいような寂しいようなそんな複雑な気持ちが表情に出てたらしく、男が眉をひそめてこちらを覗き込んできた。ったく心配性なんだから。オレは内心で肩をすくめて気前よく顔を上げた。
「よし、これにしよう!」
支払いはオレが7割、直江が3割負担。全額、それがダメならせめて半々と言ってきた男の言葉は無視して、オレはさっさと会計を済ませた。「私もセーターいただいたんですよ」だからそれが何だ。これはオレの妹に買うプレゼントだぞ。兄であるオレにカッコつけさせろ。そりゃどっちがどんだけ払ったかなんて貰う側にはわからないことだけれど、気持ちの問題っていうかメンツっていうものがオレにだってあるんだ。金色のリボンがかけられた白い小さな箱が入れられた紙袋を受け取ってオレが振り向くと、納得がいかないと言いたげに、唇をへの字に曲げていた。30もとうに過ぎた大男がする顔じゃないよなぁ・・・。でもそんなのでもかわいいとか思ってしまうオレもオレだけど。思わず緩みそうになる頬っぺたに力を入れ直し、男のコートの袖を掴んで自動ドアへと向かう。入口の外まで見送りに来た店員が深々と頭を下げるのを背中に受け、オレたちはJR駅へと向かった。

帰宅途中の会社員などで満員状態になった電車に乗り、5つめだか6つめだかの駅で降りる。賑やかな大通りとは逆のオフィスビルが連なるその先に見えたのは、季節外れの桜色。川沿いにある桜並木にピンクのLEDライトが灯され、満開の桜が咲き誇っていた。今年始まったばかりのイベントということで知る人も少ないのか、思ったほどの人出もなく、行き交うのは駅へと向かうサラリーマンやOL、そして散歩がてららしき近隣の住民くらい。時折三脚をかまえて写真を撮っている人もいるけれど、春の花見のような喧騒はまったくない。
「綺麗ですね」「…ああ」
とくに会話することなく、本当にゆっくりと二人で歩く。

イルミネーションの光そのものも勿論綺麗だけれど、川っぺりのオフィスビルのウィンドウに反射した光、そして川面に映りぼんやりとピントの滲んだ光もそれぞれ違った風情をみせてくれる。今年の春はお互い仕事だ学校だでばたばたしていて、いざ花見に行こうと思った時にはほとんど散りかけてしまっていたんだけれど、思わぬ時期に夜桜見物ができるなんて思ってもみなかった。

折り返し地点にあたる橋の上で、隣に佇む男の顔にちらと視線を送ると、オレの視線に気付いた男がこちらに顔を向け、目を眇めるようにして微笑んだ。
「1年の終わりに、こんな素敵な景色をあなたとみられるなんて、本当に幸せです」
あぁ、こいつも同じような事を考えてたんだな。
「ん、オレも」
口に出した途端、もの凄く顔が熱くなってきた。頬っぺたが真っ赤になってきたオレに、「ピンクのライトが高耶さんの頬っぺたまで紅くしてますね」とか、またしても気障ったらしい台詞を臆面もなく言ってのける。あぁ、もう、珍しく素直に言葉にしようなんて思うんじゃなかった。オレはさっきまでのそぞろ歩きからうって変わって、ずんずんと足音高く勇ましく今来たのと反対の川岸を歩きだした。

でも、さっきの台詞にウソはない。今年1年、こうして隣を歩く男と一緒にいられたこと、それは当たり前のようでいて、でももの凄く特別な事。この男がいたから今こうしてオレはここにいる。春の花咲く香りに鼻を擽られ、夏のうだるような暑さに汗を拭い、秋の色鮮やかな紅葉に目を奪われ、冬のりんとした空気に心引き締まる。そして、いつの季節もいつだって、隣にはこの男がいてくれた。季節だけじゃない、喜怒哀楽というオレの中の感情のほとんどがこの男発信だった。面白いこと楽しいことがあれば一緒に笑いあったし喜びあった。ほっとけば天井知らずにつけあがってくる男に堪忍袋の緒が切れることもあった(っていうか、これは躾だよな、うん)。哀しみのあまり泣く…って事はしなかったけれど、ある意味この男にはさんざ啼かれてるし。そして一緒にいればそれだけで嬉しかったし楽しかった。

「高耶さん」
名前を呼ばれて、すっと直江の指がオレの指に触れた。黒のロングコートから少しだけ覗かせてる深紅色の袖口を囲むような銀鼠色と、オレのダウンジャケットの袖口から見える銀鼠色。オレたちと同じように桜並木を歩く人たちの誰も、今オレたちが同じ糸で編まれたセーターを着ていることは知らないんだ。そっぽを向いたまま触れてきた指をこちらからも手繰り寄せる。オレのよりも長く太い指がぴくっと反応を示し、絡め合わせてきた。お互いの袖口からはみ出した毛糸もきっと同じように絡みあっているだろう。少し悴んでいた指先もあっという間に温度が戻ってくる。指先だけじゃ足りない、もっともっとあったまりたい。毛糸だけじゃたりない、もっともっと絡み合いたい。
「も帰ろ」「…はい」
先ほどと同じように、いやそれ以上に蕩けそうな微笑みを浮かべた男と肩を並べて、オレたちはタクシーを拾うため大通りへと足を踏み出した。





タイトルは、某ボーカリスト曲より拝借いたしました。
丁度、今の時期に一番聴いていた曲で、詞とSSの内容は全く関係ないのですが、
何気ない幸せ、みたいな雰囲気だけでも出せていればいいな、と思います。

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多岐美影

Author:多岐美影
何とか自分の手が届く範囲にてミラージュの世界を満喫したいと画策中。

生息地:江の島と箱根の間(小田原寄り)
性格:典型的な「O型乙女座」人間とよく言われる
ミラ歴:'94春~'96冬=ミラ第2部だけはリアルタイムその後13年のブランクを経て、2009年春再燃
前科:某ボーカリストの追っかけもどき約20年

ブログサイト:「天空の石」
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