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SS『星に願いを』

2014.07.07*Mon*
実に2年ぶりに書きました!!
や、ツイッタでジェンヌ諸姉の高誕熱に煽られたらしいです。
何か書かなきゃ、書きたい、書く~~~っ!!てな勢いだけ書きあげました。

で、結局。
相変わらずの語彙力のなさに打ちのめされただけでした・・・orz。

季節的にはおかしいんですが、初の赤鯨衆設定。
オチもなければエロもない(毎度のことだけど)。
そんなのでよろしければ、↓"READ MORE"  からご覧ください。
☆-----------------------------
    『星に願いを』
------------------------------☆

前線の打ち合わせから戻ってきた夕方、アジトになっている宿舎の入口が何やら賑わっていた。
といっても、何かトラブルが起きたような不穏な空気は感じられない。むしろ笑い声まで聞こえてきて、和気藹々といった雰囲気だし、あのワサワサと玄関をふさいでいるのは…竹か?

「あ、仰木さん!」

目ざとく此方に気づいた卯太郎が駆け寄ってきた。
「お帰りなさい、仰木さん。お疲れ様でした」
「ああ。…って、お前何持ってるんだ」
「これですか?短冊です」
「……短冊?」
「はい。さっき武藤さんと一緒に街に買い出しに行ったときに買ってきたがです」
もうそこまで話を聞いた時点でこの先の展開は見えてきた気がして、騒ぎに巻き込まれないように裏口に回ろうかとしたが、一瞬遅かったらしい。

「おーっ!!仰木帰ってきたのかーっ!!なぁなぁお前も書こうぜー!」

一番厄介な奴に見つかった。
卯太郎の持っていたのと同じような長方形の色紙の束をぶんぶんと振り回している男が大声を上げた。
言わずと知れた武藤だ。
「仰木さん、行きましょう!」
ウキウキという形容詞が体中から滲み出すのを隠そうともしない卯太郎に気づかれないように小さく息を吐いて、その後ろ姿に続いた。

さきほど目に止まった玄関口をふさいでいた竹には、案の定もう何枚かの短冊が取り付けてあった。
他にも、折り紙で作った輪飾りやビニールテープを裂いて川を模したらしき飾りがぶら下がってる。

「昼間、卯太郎と街に行ったろ。そしたら、商店街の入口に飾ってあったんだよなぁ。そしたら今日が7日だって思い出してさ。宿舎の裏に竹やぶあったなぁって」
ご自慢の水カッターで手ごろな大きさの竹を切って、隊士数人と担いでここまで持ってきたらしい。
ったく、自分の≪力≫を何に使ってるんだか。
「ほら、ここにいると日にちの感覚ってなくなるだろ。やっぱそれじゃまずいんじゃないかってさ。少しは風物詩ってもんも楽しまなきゃ人間つまらなくなるだけだし」
「月でうさぎが餅ついてるがは聞いたことがありますけど、星を人にみたてるなんて、現代人はおかしかです」
「ちっちっちっ。おかしいんじゃなくってロマンチストっていうんだよ」
「ろうま…ん、なんですろそれは」
卯太郎の言葉を、立てた人差し指を舌打ちに合わせて横に振り武藤が訂正する。
「ロ・マ・ン。なんたって1年に一度の逢瀬だからな」
「それしか会えないがですか」
「あー、でも確か二人でいちゃついてばっかりで仕事しなかったから、神様に離されたんだよな、あれって。ってことは自業自得ってヤツか」
「お姫さんたちも大変だったがですねぇ」
すっかり話し込み始めた二人を置いて宿舎の中に入ろうとしたが、
「あーっ!だから仰木も書けって!」武藤に襟首を掴まれたたらを踏んでしまった。
「何すんだよっ」
「だからー、願い事書けってーの」
オレの目の前に短冊とペンを突き出して、ずいっと迫ってきた。
水色に薄黄色の透かしの入った短冊は、まるで天の川をイメージしたかのようだ。
「そんなもん書くことない」
「なんだっていいんだよ。思う存分寝たいとか、腹いっぱいうまいもん食いたいとか」
「それ、さっき武藤さんが書いてましたけど」
ロマンだなんだといいながら、随分俗物的な願い事だ。
「ま、暗くなるまでまだ時間あるから、何か書いて持って来いよ」
ほらっと半ば無理やりオレに持たせるのと、ちょうど短冊に書いてきたらしい隊士が武藤に声をかけてきたのが同時だった。
「じゃ、頼んだぜ~」
「おいっ!」
走り去った武藤を見送り、残ったのはじっと此方を見上げてる卯太郎だけ。
「仰木さんがなんて書くがか楽しみです。あ、でも内緒言うなら、わし見ませんからっ」
武藤に突き付けられた短冊を卯太郎に渡そうとする矛先を、期待に満ちた声と表情に遮られ、どうやら断る機会を失してしまったらしい。
とりあえずこの場は部屋まで持っていくだけはするか。

「で、卯太郎はなんて書いたんだ」
「わしですか?あれです」
自分のことを聞かれたのが嬉しかったのか、オレを竹のところまでひっぱていき、自分が背伸びして届くギリギリの位置を指差した。
オレに渡されたのと逆にレモンイエローの地色のものや、薄桃色、黄緑など、淡い色彩の短冊が、ちょうどオレの目の高さあたりに何枚か紙縒りで括られていた。
「仰木さんがもっとたくさん笑ってくれますように」
「仰木さんのお休みがもっとふえますように」
「仰木さんといっしょに酒が飲めるようになりますように」
中川に読み書きを習っている最中だという文字は大きさも不揃いでぎこちない。それでも丁寧に書いたのは見ただけもわかる、そんな書き方だった。
「…仰木さん?」
短冊を手に動きの止まったオレの顔をうかがうような卯太郎の声に思わず苦笑が漏れる。
笹飾りにまで願掛けされるなんて、まったく我ながら情けない。
くしゃりと卯太郎の頭をひとつ撫でると、オレは無言でその場を離れた。

自室に戻って、持っていたファイルを机に投げると挟んでいた短冊がヒラリと床に滑り落ち、それを拾おうと屈んだとき、ドアをノックする音が聞こえた。
「仰木隊長、補給路の確保ができましたので確認願います」
入ってきたのは、黒のサバイバルスーツに身を包んだ男。
屈んだままだったので見上げる格好になったせいか。こいつやっぱりデカい図体してるよな。
「……高耶さん?」
じっと爪先から頭のてっぺん(デカくて見えないけど)を睨みつけてやったら、入ってきたときの事務的な固い声だったのが、ちょっと戸惑ったようなそれに変わった。その変化に満足して、オレは拾ったばかりの短冊を男の胸に突き付けた。
「これ、お前が書け」
「…短冊ですか?」
「あぁ、武藤に無理やり押し付けられたけど、書いてるヒマなんてないからな」
「そういえば、今日は七夕でしたね」
「ったく、武藤らしいっていえばらしいだろうけどな。あのお祭り男」
ため息交じりの此方のセリフに同意するように笑いながら、オレから受け取った短冊を自分の持ってきた書類に栞のように挟み込んだ。

「…そういえば、昔一度だけ願い事を書いた事があります」

補給路の打ち合わせが終わって一息ついた時、不意に男が口にした。

「まだ小学校低学年だった頃です。ちょうどこの身体に換生して、直江信綱としての意識が鮮明になってきてあなたを探すにもまだ幼い身体では何もできず気持ちのやり場が見つからないでいました」

その頃の話を自分からこの男がするのは、珍しいことだった。オレはただ黙って聞くしかなかった。
学校行事としてクラスごとに竹飾りを作ることになって、担任から短冊を渡された。星に願いを託す事を疑わない子どもたちを横目に、こんな紙切れ1枚で願いが叶うわけがないのに何を書けというのか。それでもそんな紙切れ1枚にでも縋りたい気持ちもあったのか、たった4文字を薄い水色の短冊に綴った。

「会いたい…と」

誰にとも、何にともなく、ただ会いたいとその言葉だけを綴ったのだと、男は先ほどの短冊を手に玩びながらそう呟いた。
「結局、その願いが叶えられたのは、それから20年以上経ってましたけどね」
苦笑交じりにそう言われ、オレは自分の喉奥が熱くなるのを感じた。
28年、この男は何度その言葉を口にしてきてくれたのか。感謝と謝罪と後悔とが入り混じり、オレはただその言葉を発してきた唇に自分のそれを押し当てることしかできなかった。

「……今の俺は、20年も待つことなんてできません。一刻でも早く自分の願いを叶える為に、俺は星を自分のもとに引きずり込みます」

男の胸の内の決心に、オレはまだ気づかずにいた……。




ぶつ切りな話で申し訳ございません。
「仰木さんがもっとたくさん笑ってくれますように」卯太郎なら書くかなぁ…と思ったのが、書きはじめのきっかけでした。
あとは、4年前に書いた七夕SS(直江語り)からの流れって感じです。

読んでいただきまして、ありがとうございます&お疲れ様です。

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多岐美影

Author:多岐美影
何とか自分の手が届く範囲にてミラージュの世界を満喫したいと画策中。

生息地:江の島と箱根の間(小田原寄り)
性格:典型的な「O型乙女座」人間とよく言われる
ミラ歴:'94春~'96冬=ミラ第2部だけはリアルタイムその後13年のブランクを経て、2009年春再燃
前科:某ボーカリストの追っかけもどき約20年

ブログサイト:「天空の石」
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