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2014高誕SS『HURRAY FOR WORKING LOVERS』後編

2014.07.23*Wed*
*+:。.。 HAPPY BIRTHDAY 高耶さん!!。.。:+*

今年もこの日がやってまいりました!!。

おめでとう、高耶さん。
ありがとう、高耶さん。

大河で出戻って、再読し始めたころには、
まさかこんなに大好きになってるとは思っておりませんでした。
元々「主人公第一主義」という性癖はもっているんですが、
年を重ねるごとに、益々愛おしくて大切で大好きになっていく気がいたします。

うん、多分ね。
ミラサイト様やジェンヌ様方と知り合えたことが大きいです。
自分が好きなもの・人を他の人たちと共有できる、好きと言い合える。
これって、本当に幸せなことだと思います。

『炎の蜃気楼』という作品に出会えたこと。
仰木高耶という存在に出会えたこと。
改めて感謝したいと思います。
ありがとうございます。



…ということで、
高誕SS後編でございます。

ここからは、完全二人だけの世界(笑)。
でも、イチャイチャできないのは、書き手の陰謀でございます。
・・・ウソです、単なる力量不足です。すいません。



守衛に入館証を返して、駐輪場に足を向けると、帰ったはずの男がバイクの横に佇んでいるではないか。
「お仕事お疲れ様です」
ニコリ。とって貼っけたような営業スマイル。
「…なんか用ッスか」
こっちはこっちで、自分でもどうかと思うくらいにつっけんどんな声。シートに軽く載せていた男の手を払うようにして、リアボックスに預かった書類ケースをしまう。
「いえ、ただ弊社にとっても大事な書類ですので、配達していただくお礼というかご挨拶をと思いまして」
普通に考えて、いくら自分とこの要件頼んだにしたってわざわざ配達業者にあいさつに来るヤツはいないだろうが。
「あーそりゃどうもご丁寧に」
更にぞんざいな返事が口から出た。あぁ、もうオレってばどうしていつもこうなんだろ。
まともに男の顔が見ることができないのを誤魔化すようにして、グローブを嵌める。その間もじっと男の視線が右頬に張り付いたままで、夕方近くなっても一向に下がる気配のない外気温のせいだけじゃない熱さで、オレの脳はどうにかなりそうだ。
何か喋ろよ、この野郎。
普段ならさっさと済むはずのグローブをようやく右手に嵌め終え、ヘルメットの中に残っているもう片方を取り出そうとしたのになかなかうまくいかない。
「あっ」
シートの上に置いておいたのがまずかったのか、グローブを取り出した途端メットがぐらりと大きく揺らいで落ちそうになった。とっさに差し出したオレの手よりも早く地面に落ちる寸前だったのを男が片手で受け止めた。
濃紺のスーツの袖口から見えるのは昨日クリーニングから戻ってきたばかりの真っ白なワイシャツのそれ。ボタン留めには今年の5月にオレが買ったつや消し加工されたシルバーのカフス。いつも思うんだけど、この暑さの中でなんで汗かいてなんだろ。

「はい、どうぞ」
「あ、ども」
受け取ろうと思ったら、目の前にあったはずのメットがひょいと上に持ち上がった。
釣られて顔を上げると、視界全てが男の顔でいっぱいになり、気づいた時には、ちゅっと二人だけにしか聞こえないほどの小さな音をたてて、男とオレの唇が触れ合って離れた。
「~~~っっ!!」
いくら守衛所からは陰になってるとはいえ、車の出入りがいつあるかわからない搬入口近くで、この男は急になんてことをしてくれやがるんだ。
「大丈夫ですよ、誰も見てませんから」
しれっと涼しい顔して、何を言ってる。見られてなかったらいいのか…って、こいつの場合、見られても平然としてるにきまってる。そう確信できてしまう程度にはこの男の事は熟知してるつもりだが、だからといって、はいそうですか、じゃどうぞお好きにしてください、なんて言えるはずもない。
「っもういいから返せ!」
男の手からヘルメットをもぎ取ると、今度はいまだ嵌めずに右手に掴んだままだったグローブの片割れを落とした。あぁ、もうオレってば何やってるんだよ。
またしても落とした本人より先に、腰を曲げて地面に落ちたグローブを拾ったのは男の方で、オレはその一連の動きをただ突っ立ったまま見てるだけだった。

すいませんでした、と拾ったグローブをオレの手首を掴んで、今度は落とさないようにと掌の上に載せながら男が頭を下げる。
「まさかこんなところであなたに会えるなんて思ってなかったので、少し浮かれてしまいました」
「…さっきは全然知らん顔してたくせに」
渡されたグローブを見つめて、ポツリと呟いた。
「高耶さん…?」
「さっき、帰るとき受付だけ寄って、オレのことなんか全然無視してたじゃねーか」
あぁもう拗ねてるよ、声が。
あの時の男は、あくまでも仕事であそこにいたわけで。オレは仕事の相手先のそのまたオマケみたいなもんで、あそこでオレにまで挨拶したり個人的に話しかけたりできる状態じゃなかったのは理解っているんだ。理解ってても、でもあの時あの場にいた女が全員この男のことを見てるのが癪にさわってしょうがなかったんだ。
お前らが見とれてるこの男は、オレにしか興味ないしオレしか見ないんだって、そう思ってたのに、実際は無視されて、自分が自惚れてただけだったのかってすごくがっかりして。ちょっとへこんだ気分で戻ってきたら、目の前に男が笑顔を見せてるじゃないか。嬉しいんだけどもやもやした気分は抑えられないし、しかも焦ってあれこれ落っことして、そのたびにスーツを着込んだ誰が見ても立派な社会人が拾ってくれて。まるっきり子どもみたいで、なんかもう情けなくなって、どうしようもなく八つ当たりしたい気分になっていたんだ。

掴んだままだった手首をぽんぽんと二度指先で叩かれた。まるでこちらの考えてることなど全部わかってると言うように、あやすかのように。
「あれでも精一杯我慢してたんですよ、少しでもあなたに気を取られたら自分が抑えられなくなりそうでしたから」
我慢?なんで?
「あなた、あの時自分に向けられる視線がどれだけあったと思います」
エレベータから降りてきて自分を認識した時のオレの表情に受付の女子がぼーっと見とれてたとか、何解んないこと言ってんだよ。受付のコが見てたのはお前のことだろうが。
「そのあとも、受付の傍にずっと立たれてるものだから、彼女たちも上の空みたいでしたし、ロビーに出入りする人皆が皆、あなたに注目してるじゃないですか。どれだけ私がもどかしい思いをしてたと思います」
何言ってんだよ、それはお前のことだろうが。
「さっさとあなたに書類をお預けして、少しでも早くあの場を離れていただきたいと思いながら、打ち合わせしてました」
こっちが真剣な表情してるなと感心してたというのに、そんなことを考えながら仕事してたのか。
「いつだって、私が考えてることはあなたのことですよ」
しれっとそんなことを言われ、伏せていた顔を上げると、さっきの取ってつけたような営業スマイルとは違う、柔らかく優しい表情をした鳶色の双眸と目がぶつかった。
あぁ、オレだけが知ってる、オレだけに見せてくれる、本物の微笑だ。
そう思ったら、拗ねたり八つ当たりしたりしてるのが莫迦らしくなってきた。
うんそうだ。オレの自惚れじゃなくって、やっぱりこの男はオレにしか興味ないしオレしか見てないんだ。

気分が浮上してきたところで、今がこいつもオレも仕事中だということを思い出した。

「そろそろ行くぞ」
「せっかく横浜まで出てきたんですから、本当ならこのまま泊っていきませんかと誘いたいところなんですが」
残念です、と言葉ほどには口調も表情も惜しんでるわけでなく、おどけたように肩をすくめてみたりする。
「何言ってんだ。お前んとこの書類だろうが」
「ええ、今日締切でなければ、このまま私が預かって明日社に届けてもいいんですけどね」
いやいや、ちょっと待て。
書類があろうがなかろうが、明日も平日こいつはお仕事、オレも1限から講義がある。こんなところに泊ったりなんかしたら、朝が慌ただしくてしょうがないだろうが。
そう言うと、男は今度は大げさなくらいに大きなため息をついた。
「あなた、今日が何日か忘れてませんか」
…知ってる、っていうか、朝から何度こいつに「おめでとう」とか「ありがとう」とか言われたと思ってる。
普通「ありがとう」は祝われたこっちがお礼として言うべき台詞のはずなのに、「生まれてきてくれてありがとう」「ここにいてくれてありがとう」と本当に心底嬉しそうに幸せそうに、遅刻寸前の出かける間際まで繰り返し言われてたんだ。
忘れようがない。

一緒に暮らし始めた最初の年の今日、この男はわざわざ有給休暇を取得した。
5月の自分の誕生日は祝日かつゴールデンウィークという世間一般ほとんどが休みなんだから、せめて自分一人くらいはあなたの誕生日に休みを取ってもいいでしょう、とか適当なことを言って、朝から…いや、前日の夜から翌日の朝までオレを腕の中にくるみこんで手放そうとしなかった。当然のこと、オレは強制的に2日間の自主休講。
このままほおっておけばこの男のことだから、これから毎年同じ事を繰り返すに違いないと踏んだオレは、翌年からの有給禁止と、誕生日だからと特別視しないことを約束させた。
当初はかなり不満そうにしていた男も、この先何年も何十年も一緒にいるんだから特別なんて必要ない、日常が続くことを大事にしたいというオレの言葉をしぶしぶではあったものの受け入れ、とりあえずはあまり仰々しく祝うことはなくなった。
…そう、有給やら高額すぎる誕プレやら男二人の部屋のどこに飾るんだっていうでかい花束やら、あくまでも大げさなのは自粛するようになっただけマシになったという程度ではあるが。

そして、今年は先日の3連休の前半2日間に、こじんまりとした雰囲気も料理も大変よろしい温泉宿に連れて行かれた。精神衛生上聞かなかったけれど、料金については多分オレの許容範囲ギリギリってところだったろう。あれ以上至れり尽くせりだったりしたら、ちょっと落ち着いて風呂になんて入れなかったと思う。

まぁ、それはさておき、誕生日当日である今日は朝から「おめでとう」の言葉とともにキスの集中砲火を浴びせられ、ここでまた甘い顔なんてしたら、とんでもないことになることは請け合いで。

「7月23日の水曜日の平日ど真ん中、ついでに大暑!」

きっぱりと言い切ると、ほれ持ってろ、と先ほど奪ったヘルメットを男に預けて、片方だけだったグローブを両手に嵌める。
「今からYデザインさんのとこに書類届けて、営業所戻ってだから、多分帰るの7時頃になるから」
「私も一度社にもどります。そろそろ帰宅時間で渋滞も増えそうですので、気をつけて戻ってくださいね」
「おうっ。お前も残業なんかしてくるなよ」
「わかってますよ。ちゃんと帰りにケーキ受け取ってきますね」
「ん、楽しみにしてる」
駅からの帰り道にあるケーキ屋で予約したのは知ってるが、どんなのかは内緒だそうで、この間、おやつを買いに寄った時に、「作るのも楽しみなんですよ」とパティシエでもある店のオーナーに言われたけど、店の人にまで口止めをする念の入れようだから、さぞかし美味いのなんだろうと、かなり楽しみにしてるのだ。

バイクに跨りクラッチレバーを握ってエンジンを掛けると、ヘルメットを渡そうと男が一歩近づく。守衛から見えない位置だという事を、念の為左右に流した視線で確認すると、メットを受け取るのと同時に、シートから腰を浮かせるようにして、さっきのお返しとばかりに男の唇に自分のそれを触れさせた。
オレからの逆襲があるとは思ってなかった男は、瞬間目を見開いたものの、みるみるうちに蕩けるような表情になった。
かーっと熱くなった顔を急いでヘルメットで隠して、「続きは、あとでな」とくぐもった声で呟けば、男は更に笑みを浮かべて、「楽しみにしてます」と返す。
ブォンと一度エンジンを吹かせて、バイクを走りださせて片手をあげ男に合図を送ると、ミラー越しに同じように手をあげ返すのが見えた。

守衛所の前を通る時、ちょっと気になったけど、軽く会釈をされただけで済んだ。
どうやら本当に見られてなかったらしい。ホッとしながら、通用門を通り過ぎ、来た道を戻る。預かった書類を届けて、伝票を事務所に戻したら、今日の仕事は終わる。
そうして、やっぱり仕事を終わらせたあの男が帰ってくるのを、今か今かと待つんだ。
きっとあいつは極上の笑顔でケーキを携えてくるだろうから、オレもとびきりの笑顔で迎えてやろう。
「お疲れ様!」って。



おしまい





や、もうマジで。
読む分には、ねちっこくてデロデロの甘々なエロとか大好きなんですが、
どうにも自分の中にそれを表現する要素が欠落しておりまして。

ま、愛がいっぱいあふれまくってるミラ二次の中で、
たまにはこんなあっさり風味もいいのではないかと…(苦しい言い訳だ)。

ご覧くださいました皆様、本当にありがとうございます&お疲れ様でした!!

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多岐美影

Author:多岐美影
何とか自分の手が届く範囲にてミラージュの世界を満喫したいと画策中。

生息地:江の島と箱根の間(小田原寄り)
性格:典型的な「O型乙女座」人間とよく言われる
ミラ歴:'94春~'96冬=ミラ第2部だけはリアルタイムその後13年のブランクを経て、2009年春再燃
前科:某ボーカリストの追っかけもどき約20年

ブログサイト:「天空の石」
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